汽笛がものうく響き、かもめが飛び交う平和な港「ヨコハマ」通称サブこと水上三郎は、松平海運支配人、木谷哲郎の手先となり、日雇い港湾労務者から暴力でピンハネをしている港のダニである。サブが木谷に絶対服従なのは、戦災孤児だったころ木谷に拾われ、木谷の不自由な足は、空襲の折にサブをかばって受けた傷だと聞かされているからだ。ある日、サブは波止場のドラッグ・ストアのウェイトレス、ユキと知りあった。その日から、二人は少年少女のように遊びまわった。そのころ、搾取にあえぐ労働者達に組合結成の機運が起った。木谷はサブとトミイに命じて、リーダーの中島にヤキを入れさせたが、サブ達はまちがって殺してしまい、事故死とみせかけて死体を海へ捨てた。その日はサブの二十歳の誕生日で、ユキはサブのアパートで待ちわびていた。数日してサブは、中島がユキの父親だったと知り呆然とした。彼は虚脱状態に落ち入った。ある日、サブは、木谷と肉体関係をもった玲子に誘惑され交渉をもった。それを契機にサブは、玲子の肉体におぼれユキのことも、港の生活も忘れて行った。そんな生活の中でサブは木谷の足はビルマ戦線で受けた傷と知った。木谷は二人の関係を知った。彼は玲子の前でサブを罵倒し詰問した。「犬めっ、リンチしてやる。人殺しをさせてやる」この言葉がサブの永い間耐えていた屈辱感に響いた。サブは木谷を殺してしまった--。血だらけの両手を見つめてサブは狂気のごとくユキの姿を求めて街を走った。知らせでユキも埠頭にかけつけた。やっとユキを探したサブは、すべてを告白しようとしたがユキはさえぎった。「木谷を殺して、やっと自由になったんだ」と絶叫するサブに手錠が光った。「ユキちゃん。好きだ」サブの言葉を残して、パトカーは走り去った。広大な埠頭には泣き崩れるユキの姿があった--。
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