棚下照生の長編劇画「めくらのお市物語」
"めくらのお市"は、娘を尋ねて旅をする老人仁平をやくざから助けたことから、ふと自分の境遇を思い出した。お市が、雷の閃光を受けたのは七歳の時、母親が彼女を捨て去った雨の日だった。以来十年、お市は弥助に拾われ、幸福な日々を送っていた。だが、弥助も伝蔵一味に殺され、途方に暮れてしまった。お市が弥助の墓前で一味に襲われた時、彼女を救ったのは、浪人の浮田だった。浮田は、お市に居合い剣法を教えたが、彼女が自分に想いを寄せるようになると、赤い仕込杖を残し姿を消してしまった。それからお市は、母探索と弥助のかたき追討の旅に出た。道中、仁平の娘およねを見つけたお市は、彼女の身受けをするため、上州屋の賭場で博奕をうった。お市は、その日政五郎親分とサシの勝負をしていた好敵手お文のイカサマを見破り、賭場は大混乱した。一方、仁平は、およねの監禁された土蔵に忍びこんでいた。ところが、それを待受けていた伝蔵におよねともども惨殺されてしまった。伝蔵は、かつて仁平、弥助と街道を荒し回った盗賊だったが二人を裏切り、富を築いて豪商庄平衛になりすましていた。そして旧悪の露見することを怖れ旧友を殺したのだった。その頃、お市は政五郎の女房お浜に、賭場で稼いだ金を積み、およねを買戻そうとしていた。お浜は、その時お市が実の娘であることを知ったが、告白できぬまま彼女を蔵に案内した。しかし、およね父子はすでにこと切れていた。浮田から事の次第を聞いたお市は、単身伝蔵を追った。原野で宿敵と対峙したお市の剣は冴え、弥助、仁平そしておよねの怨念を晴した。
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